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ヘルパーを退職する理由で多いのは?現場の声を聞いてみた。

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介護業界は常に人手不足の仕事といわれていますが、その中でも訪問介護事業所で働くヘルパーの求人は、非常に多く出ています。

中には、1年中募集をかけている事業所や施設もあるようですが、頻繁に募集の出ている所は、逆に何か問題があると思われてしまうため、求人を出すタイミングも非常に難しいところです。

先日あるヘルパー事業所の管理者から、募集の求人を出してもなかなか応募がなく頭を抱えているとの話を聞きました。

たとえ採用してもまたすぐに辞める人が出るため、人手不足解消には至らないとのこと。そのため、せっかく新規の仕事の依頼をいただいても、調整ができずやむなく断ることもあるそうです。

ヘルパーの仕事は、やりがいや魅力を感じることも多い仕事ではありますが、その一方で離職率が高いのも事実です。

今回は、何故多くのヘルパーが退職してしまうのか、その退職理由について実際に訪問介護事業所の管理者や現場で働くヘルパーの声も聞きながら考えてみました。

やりがいを感じながらも、多くのヘルパーが退職していく

ヘルパーの仕事は、在宅で生活する援助が必要な人にとってなくてはならない仕事。「住み慣れたこの家で、できる限り住み続けたい」と願う在宅の利用者さんの生活を支えるのがヘルパーの重要な役割です。

それだけに自分の行なう援助によって、利用者さんが元気になり笑顔が増えたり、介護の負担が軽くなって良かったと、家族から感謝の言葉をかけられたりすることが、やりがいにもつながるのです。

しかしやりがいのある仕事だという一方で、様々な理由から退職をするヘルパーが多くいる現状もあります。

ヘルパーが退職する理由は、もちろん人それぞれに違いはあるでしょうが、その根底にあるもの、また共通するものにはいったいどんなことがあるのでしょうか。

ヘルパーを退職する理由はを聞いてみた

訪問介護事業所の管理職やサービス提供責任者、またヘルパーとして現場で働いている皆さんにの協力も得ながら、退職理由についてざっくりとまとめてみました。

1:人間関係の悩み

人間関係の問題はどこの業界や職場でも起こるリスクがあるものですが、とりわけ女性が多く働く訪問介護事業所では、女性特有の複雑な人間関係のなどを理由に、辞めていく人が多いと言われています。

それでなくても訪問援助の利用者さんや家族に気を使いながら仕事をしているため、こうした職場の人間関係に疲れてしまうと言う人も少なくありません。

現場の声
・ヘルパー同志が集まると、常に噂話が誰かの悪口が始まる職場の雰囲気に嫌気がさした
・気の強いベテランヘルパーに目をつけられ、まわりから無視され続けた
・上司からパワハラやいじめを受けた

2:体調面の悪化やストレスなどの問題

肉体労働の多い介護の仕事には、仕事に追われる中で、怪我や持病の悪化などのリスクもつきものです。もちろんヘルパーも同様の悩みを抱えています。

現場の声
・持病の腰痛や股関節等の悪化により介護が続けられない
・妊娠や出産により、それまでできていた介護などができなくなった
・仕事のストレス等が積み重なり、パニック障害うつ病を発症してしまった
・体力、気力の限界に達した

3:待遇や給料面での不満

へルパー(介護職員)の待遇に関しては、国も動き出していて、以前に比べ少しは処遇も改善傾向にはあるものの、それでもなお離職する人が多い現状は変わってはいません。

現場の声
・長年勤めていても、正社員にはなれずパートでしか働けない
・体力的にでも精神的にもきつい仕事なのに、給料が安い
・有給があっても、休みたくても、代わりがいないから無理だと言われる
・どんなに頑張っても他の業界に比べ、賃金も安いし社会的な評価も低い

4:業務に対する不満や疑問

ヘルパーの業務に関すること、また自分が行っている援助内容に疑問を持ちながら辞めていく人もいます。

現場の声
・給料は新人と変わらないのに、ベテランだからと困難事例ばかり担当させられる
・利用者に対する報告や相談をしても、何もアドバイス等もされず、結果何も変わらない
・ヘルパーの援助を家政婦を勘違いしているような利用者さんや家族もいて、介護保険ではできないサービスを要望され困っていても、事業所側はなかなか動いてくれない
・利用者さんとのトラブルや苦情があっても、訪問しているヘルパーが矢面に立たされ、職場のフォローもない
・人手不足のため、登録ヘルパーが急な休みをとると、交代できるヘルパーがいないため、結局サービス提供責任者の自分が訪問するため、本来業務は後回し状態
・利用者さんと家族とうまくコミュニケーションがとれない(自分にはこの仕事は向いていない)
・サービス提供責任者になってから、役所や他職種との連携に必要な書類の多さ、残業の多さに耐えられない

5:その他

施設の介護士にはなかなか想像できないような不安や不満が、ひとりで利用者さん宅を訪問するヘルパーの退職理由になることもあるようです。

現場の声
・ヘルパー訪問は、基本自転車やバイクで移動するので、悪天候などの時が大変。特に大雪や台風の時なども、援助内容の関係上、時間が動かせない場合などは本当につらい。 
・訪問時、利用者さんが倒れていて、そのまま亡くなってしまったり、長い間援助していた利用者さんの死に直面した時のショックから立ち直れない
・自分が想像していたヘルパーのイメージと現実とのギャップが大きく、こんなはずではなかった
・ほこりだらけの家やいわゆるゴミ屋敷と呼ばれるような利用者宅の担当になって以降、花粉症を発症し、アレルギーの持病も悪化してしまった このように、今回ごく一部の事業所の皆さんの生の声を聞いてみただけでも、ヘルパーの現場での苦労がよくわかります。

上記のような不満や要望を訴えれば訴えるほど、事務所との関係が悪化し、結果としてヘルパーの退職につながることも多いようです。

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まとめ

高齢社会を迎えた日本の中で、介護業界は本来であれば最も将来性の高い仕事です。もちろんヘルパーの需要も今後ますます高くなっていくことは確実です。

しかし実際には、ヘルパーの仕事をやってみたいという人、介護の資格を持っている人もたくさんいるはずなのに、求人の募集をかけても、なかなか応募が来ない現状が続いています。

それどころか、離職率が高いという現実もあり、ヘルパーの仕事は年々人手不足が深刻化しています。

退職の原因は、もちろん事業所側・ヘルパー側どちらにもあると思うのですが、それだけでは解決できない深刻な問題もあることを国や社会全体でしっかり考えていくことが重要だと思います。