私が聞いた介護士のヒヤリハット体験談!!
ヒヤリハットという言葉を聞くと「そう言えば、あんなことがあったなあ・・・」と思い出す人もいるのではないかと思います。
高齢の利用者さんのケアをする介護の現場では、どんなに気をつけていても、ミスや事故になるもとが、思わぬ所に潜んでいると言われています。
ではいったい、介護士はどんな時にヒヤリとするミスをしてしまうのでしょうか?
今回は、実際に介護の現場で介護士が経験したヒヤリハット体験談をもとに振り返ってみたいと思います。
そもそもヒヤリハットって?
ヒヤリハットとは、読んで字のごとく「ヒヤリとした」「はっとした」という意味で、大きな事故にこそならなかったものの、事故が起きてもおかしくなかった1歩手前の事例のことを言います。
介護の現場では、実は小さなヒヤリとした事例は、日々起きているのですが、それに気づかずに過ごしてしまっていることもあるかもしれません。
いかに小さなヒヤリを発見し、それを職員間で共有することができるかが、大きな事故を未然に防ぐためにはとても大切です。では実際の介護の現場で、介護士が経験したヒヤリハットとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、様々な介護の現場で働いている介護士達に、そんなヒヤリとした体験談を聞いていました。
特養の中で起きたヒヤリハット
これは、ある特養で働くAさんさんの体験談です。
自分が働くフロアは、認知症の利用者さんが多く入居されていて、様々な利用者さんがいつも廊下を歩き回っていることが多いフロアです。
もちろんスタッフも一緒について歩いたり、見守りをするなどの配慮はしていたのですが、ある日スタッフが気づかないうちに、ひとりの男性利用者さんが、他の面会者の人達と一緒にエレベーターに乗ってしまったのです。
もともと歩行状態も自立されていたため、エレベーターに乗っていても、面会者もみな不自然には思わなかったようで、1階に降り、そのまま施設の外に出て行こうとしていたところを、1階の職員が気づいて事なきを得ました。
特養施設のように、昼夜問わず多くの入居者のケアをする現場の場合には、なかなか見守りや注意が十分に行き届かない場合もがあります。
このことをきっかけに、利用者さんの所在確認の徹底や、エレベーター前に張り紙などしながら、面会者がエレベーターに乗る際には、一声かけていただくなどの対応策が検討されました。
ショートで起きたヒヤリハット
これは、ショートステイで働くBさんの体験談です。
ショートステイを利用される方は、短期間の滞在となるため、自宅から服薬する薬を利用の日数分を持参されます。
自分の施設では、その服薬管理はナースが行い、朝昼夕とその人の服薬時間に合わせてセットし、介護士がそれを手渡したり、服薬介助をしています。
しかしその日は、偶然同じ苗字の利用者さんが入所されていて、それも隣同士で食事をされていたために、本来セットされるはずの薬が逆に置かれていたことに気づきました。薬を手渡す役割が介護士に任されている職場は、かなり多いと思います。
薬を誤って飲ませてしまうこと(誤薬)は、利用者さんの命にも関わる、大きな事故につながりかねません。
食事前後は、慌ただしい時間帯ではあるけれど、服薬時には、必ず顔と名前の確認はもちろん薬に記載されている名前などの事前チェックも徹底することを再確認しました。
デイサービスで起きたヒヤリハット
これは、デイサービスで働くCさんの体験談です。
自分の働くデイサービスでは、送迎専門のドライバーではなく、介護士がデイ送迎も担当しています。
当日利用される利用者さんの名前や順番、送迎時間を、送迎コースごとに記載されたスケジュール表を見ながら、当日自分の担当するエリアを車で回ります。
ある日いつものように、自分の送迎するエリアをスケジュール表を送迎車に持参し、利用者さんを順番に乗せ施設に戻ってきました。
しかしその後、ある利用者さんから「いつまで待ってもお迎えが来ない・・・」と電話連絡があったのです。
その利用者さんは、家族の都合により、その朝だけ迎えの時間を遅らせてほしいとの連絡が入り、急遽いつもとは違う自分の送迎車の最後で対応する予定になっていたとのこと。
もちろん、いつも迎えに行く送迎担当者には、そのことは伝わっていましたが、迎えに行く側の自分にはそれが伝わっていなかったため、その後慌てて迎えに行くことになったのです。
忙しい朝の時間帯の中で、送迎コースや送迎時間変更などの連絡ミスも増えて来ていた時期だけに、このことをきっかけに、必ず全員で申し送りをし、連絡の行き違いのないよう話しあいをしました。
まとめ
今回の体験談のようなヒヤリケースは、恐らく皆さんの働く職場でも、決して他人ごとではないと思います。
忙しい介護の現場の中で、普段と違う対応が必要になったり、時間や業務に追われれ精神的に余裕がない時など、様々な原因がミスやトラブルなどにつながると言われています。
自分が起こしてしまったミスだと落ち込む人も多いと思いますが、逆にその小さいミスから学べることもたくさんあるのです。その情報を全体で共有し、そのミスの要因になったものを検証しながら今後につなげていくことが、大事なことだからです。