介護士と看護師が犬猿の仲である職場が多いのはなぜ?
施設で働く介護士の多くが、看護師やその他の専門職と一緒に働くことの多い職場環境におかれています。
そんな様々な職種と一緒に働く環境の中でも、特に介護士と看護職との関係に悩む人が多いと聞いています。
もちろん、日頃から介護士の人が看護師に感じている不満や悩みは、裏を返せば、看護師の人も介護士に対して感じている不満や悩みでもあるということですよね。
実際介護士と看護師の間には、しばしば壁ができたり、トラブルが発生することも多くあり「介護士と看護師は、犬猿の仲だから・・・」とはっきり言う人もいます。
介護士対看護師のこうした話題は、尽きないことを考えると、やはりどこの職場でも同じようなことが起きているのだなあと実感します。
今回は、なぜ介護士と看護師の関係で悩む職場が多いのかを考えてみたいと思います。
介護士と看護師は、なぜギクシャクしてしまうのか?
他職種と一緒に働くことの多い介護の現場では、介護士同士はもちろんですが、看護師同士、また介護士と看護師といった職種の違う職員同士の対応に悩むこともよくあります。
もちろん利用者さんのケアに対する話しあいの中での意見のぶつかり合いは、より良いケアを行うためには必要な場合もあります。
しかしお互いの役割や業務の内容をきちんと理解していないまま、ただミスや不満だけを指摘しあうことから、介護士と看護師と間がギクシャクしてしまうこともあるようです。
何よりも、介護施設に入所している利用者さんを「生活」という観点から見る介護士と「医療」という観点から見る看護師との間には、根本的な違いがあるからだとも言われています。
介護士、看護師それぞれに、お互いをどのように見ているのか
今回は「自分の職場は介護士と看護師が犬猿の仲だ」と感じている介護士や看護師の皆さんが、お互いにどのようなイメージを持っているのかを聞いてみました。
◎介護士が抱く看護師のイメージ
・とにかく怖くて何も言えない
・介護士の意見はことごとく否定される
・いつも上から目線で物を言う
・介護士の意見は通らないことが多い
・看護師というだけで、苦手意識を持ってしまう
・残業しないで定時に帰れてうらやましい
・給料の差が大きい ・頭ごなしに利用者さんや家族に厳しい声かけをする
・処置の時だけ来て、それが終わると医務室から出てこない
・どんなに介護士が忙しく動き回っていても、介護の仕事には手は出さない
・看護師の威圧的な態度や発言に、思うことがどんどん言えなくなっている
◎看護師が抱く介護士のイメージ
・介護士が多いので看護師の意見は通らない
・介護士が人手不足のため、介護も当然のように担わされる
・看護師側から、処置の方法やケアの指示を出しても、ちゃんとケアをしない
・観察力のない介護士が多い
・時間に余裕がないのか、利用者の対応もいつもバタバタしている
・記録を優先し、利用者さん対応が後回し
・口腔ケアや、体位変換など、きちんとできていない
・もう少しプロ意識をもって仕事をしてほしい
このように、本来フォローしあわなくてはならない関係なのに、なぜか不満の声が多く、対立してしまうという職場があるようです。これは介護士と看護師の永遠の課題なのかもしれません。
しかし、介護の現場で働く介護士の皆さん、看護師の皆さんと話をする機会が多い中で、全ての職場がみなこのような否定的なイメージを持っている訳ではありません。
今回も、お互いの専門性を尊重しあいながら、チームケアが実現できているというような声も多く聞かれました。
まとめ
同じ施設の中で働き、利用者さんの安定した生活を維持していくためには、介護士と看護師の連携は非常に重要です。
もちろん職種が違うことで、お互いの業務内容や役割を全て理解することは難しいことですが、いつまでも対立し続けていることが、最終的には利用者さんの生活に影響してしまうこともあります。
今この利用者さんにとって一番の問題は何か、どうしたらこの利用者さんがより良い生活を送れるか、またそのためにそれぞれが何をしたら良いのかを一緒に考えていくことが不可欠です。
確かに看護師の看護業務は、介護士にはできないことも多くありますが、その一方で利用者さんの状態を常に身近で観察ができる介護士だからこそ気づけることもあるはずです。お互いを尊重し合える環境作り・・・決して簡単な課題ではありませんが、まずは一人ひとりが、お互いの立場を理解しようという気持ちを持つことができれば、少しずつ犬猿の仲にも変化が生まれるかもしれません。