介護士ファースト

介護士の介護士による介護士のためのブログ「頑張っている介護士をホワイトな職場へ」

訪問入浴は何故きついと言われるのか聞いてみた

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介護の求人を探す中で、どうしても様々な事情により夜勤や交代勤務ができないという人が、日勤帯で働ける「訪問入浴の求人」を目にすることもあると思います。

とは言え、デイサービスや訪問介護などは、馴染みがあるサービスで、まわりからも情報を得る機会も多いものの、この訪問入浴に関してはよくわからないと言う声をたくさん聞きます。

実際訪問入浴で働いている人に話を聞いてみると、楽そうなイメージで入ったものの実際にはきつい仕事だと言う人も多く、今回はそんな訪問入浴について考えてみたいと思います。

訪問入浴の仕事内容って?

訪問入浴は、自宅で寝たきり状態の高齢者や障がいがあって、自宅浴槽での入浴が困難な人に対し、専用の入浴車と浴槽を使用し入浴介助を行う仕事です。

基本的には、看護師1名とスタッフ2名の計3名体制のチームで、1日に数件程度利用者宅を訪問し、更衣介助から浴槽への移動、一人ひとりの身体状況等に配慮しながら入浴介助を行います。

1件の訪問に対し、入浴準備〜入浴〜片付けまで約40分程度かかり、確かに肉体労働ではあるけれど、入浴後の利用者さんの満足した表情に、やりがいを感じることもあると言われています。

しかしその一方で「訪問入浴の仕事はきつい!」という声があるのも事実です。では実際にどんなことに対し、現場はきついと思っているのでしょうか?体験者の声をもとにまとめてみました。

何故訪問入浴の業務ががきついと言われるのか

訪問入浴も、それぞれの事業所ごとに業務内容(体制)やマニュアル等に違いはあるようですが、基本の部分に大きな差があるわけではありません。

その中で、実際現場で働く介護士はどんなことを大変だと感じているのでしょうか。今回は、一度は訪問入浴で働いたことのある介護士に具体的な話を聞いてみました。

訪問入浴がきついと感じた体験談

・訪問入浴を利用する利用者さんは要介護度が高く、訪問介護サービスなどでの入浴介助が困難な寝たきりの方も多いため、介助自体が体力的にも厳しい

・エレベーターのない団地などの高層階の利用者さんも多く、浴槽や荷物の持ち運びがきつい

・部屋が狭かったり、中腰の体勢で介助をすることが多く、腰を痛めて辞める人も多い

・浴槽を運んだり、利用者を抱えたりなど、力仕事が多いのでとにかくきつい

・真夏の暑さの中での入浴介助で脱水になってしまうことも(冷房のないお宅もある)

・介護職自体が給料が低いのはわかるが、肉体労動に見合わない給料の低さにがっかりする

・利用者さんの自宅内での業務のため、家族にも気を遣うので、非常に疲れる

・男性のスタッフは、どうしても浴槽の設置から利用者さんの移動介助にいたるまで肉体労働を担うことが多く、女性以上に厳しい現状

・看護師も含めた3人1組のチームでは動くが、日によってメンバーが変わるため、その日の人間関係によって仕事もスムーズにいかないことがある

・訪問時間が押せ押せになることもあり、最終的に残業になることも多い

このように現場の話を聞いてみても、正直とても大変な重労働・・・他の介護の現場とはまた違う意味での苦労もあるようですね。

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訪問入浴を通して得られるものもある

ここまで訪問入浴の大変さばかりを書いてきましたが、実際に話を聞いてみると、決して大変なことばかりではないようです。

訪問入浴の仕事を通して多くの介護士がやりがいだと感じているのは、利用者さんや家族からの「ありがとう」の言葉はもちろん、入浴後「気持ち良かった」と言ってもらえたり満足そうな表情を見る時だと言います。

非常にハードな仕事ではあるけれど、そんな瞬間が仕事のやりがいにもつながっているようです。

特に寝たきりの高齢者や終末期に入り、なかなか入浴することが叶わなかった利用者さんの入浴が実現した時などには、その充実感はないと話してくれる介護士もいました。

私たちの日常生活の中で「お風呂に入る」という行為は、ごく当たり前の事なのですが、実際には自宅でそれができない高齢者や障がい者の人達がも多くいます。

訪問入浴は、確かに大変できついと言われている仕事ではありますが、自宅で入浴を希望する利用者さんに寄り添いながら、生活の質の改善につなげられる貴重な仕事でもあるのです。